2022/08/25
漢文の勉強をしていて、「返り点がよくわからない」「語順を崩さずに訳すのが難しい」と感じたことはありませんか?
多くの受験生が「返り点=暗記」と思いがちですが、実は、返り点の仕組みを理解すれば、文構造をそのまま保ったままスラスラ訳すことができるようになります。
今回は、大学受験の古文漢文で得点力を上げるために欠かせない「返り点攻略法」を、順序立てて解説していきます。
1. そもそも「返り点」とは何か
漢文は、中国語の語順(主語→述語→目的語など)が日本語と異なるため、日本語の語順で読めるように補助する記号が必要になります。
この記号が「返り点(かえりてん)」です。
返り点には、主に次のような種類があります。
| 返り点の種類 | 意味・読み方 |
|---|---|
| レ点(レ) | 直前の語に戻って読む(1回戻る) |
| 一・二・三点 | 戻る順番を示す(順番があるとき) |
| 上・中・下点 | 順に戻る箇所が多いときに使用 |
| 一二点とレ点の併用 | 複数回の返りを示す複雑な文で使用 |
たとえば、「レ」を見たら一つ前の字に戻るだけで済みますが、「一二点」になると戻る順番をしっかり意識しなければいけません。
つまり、「返り点を読む」=「どの順に日本語に直すかを決める」作業です。
2. 返り点を理解する第一歩:「レ点」の基本
まずは、最も基本的なレ点をマスターしましょう。
以下の例を見てください。
例文: 学レ而習フ
(読み)学びて習ふ
(意味)学んで、そして復習する
ここでは「レ」が付いているので、「学」→「而」→「習」と読む順番を逆転させます。
つまり、「レ」の位置に注目して一度戻るだけで、自然な日本語にできます。
この「一度戻る」感覚が、後の「一二点」や「上下点」にもつながります。
はじめは、「レ点のついた語は一歩戻る」という感覚を体で覚えることが大切です。
3. 少しレベルアップ:「一二点」で二段階の返りを理解する
次に、「一二点」を見てみましょう。
例文: 人ヲ愛ス一能ハ二仁ナリ
(読み)人を愛すること能は仁なり
(意味)人を愛することができるのが仁である
このときの返り点は、「一」と「二」で二段階の戻りを示しています。
読み方の順序は次の通りです。
-
「能ハ」まで読んだら「一」があるので「二」に戻る。
-
「仁ナリ」で文を終える。
返り点の数字は「一→二→三」と数字が小さい方から順に戻るのがルール。
「どの言葉がどこに戻るのか」を意識して、矢印を頭の中に描くようにすると理解が進みます。
4. 「語順を崩さず」訳すためのポイント
返り点を使うと、どうしても日本語訳が「語順を変える」形になってしまいがちです。
しかし、大学入試では漢文の構文理解を問う問題が増えており、語順をできるだけ保ったまま読む力が重要になっています。
そのためのコツは、次の3つです。
(1)主語と述語のペアを意識する
返り点を読んでいると、細かい返りにばかり気を取られて主語を見失うことがあります。
まずは「誰が・何をしたか」を見つけ、そのペアを崩さずに読むようにしましょう。
例文: 君子ハ学ビテ以テ道ヲ行フ
→「君子が」「学んで」「道を行う」
主語と述語の関係を意識すると、自然な流れで読めます。
(2)修飾関係をまとめて読む
形容詞や副詞的な部分は、前後の返り点に惑わされずひとまとまりの意味単位で読むと語順を保ちやすくなります。
例文: 誠ニ以テ人ヲ感ズ
→「誠をもって人を感ずる」
修飾語「誠ニ以テ」を先にまとめて読むと、崩れにくいです。
(3)返り点を「日本語の助詞」としてとらえる
「レ点=~して」「一二点=~が」「上中下点=~を」といった具合に、返り点を助詞の働きとしてとらえると、日本語に置き換えるときの自然な流れがつかめます。
5. 送り仮名・再読文字との関係も押さえる
返り点とセットで出てくるのが「送り仮名(送りがな)」と「再読文字」です。
返り点の仕組みを理解しても、これを無視すると正確な訳にはなりません。
送り仮名とは
動詞や形容詞を日本語として読むための補助。
「学レ而習フ」の「フ」の部分のように、返り点と合わせて読む。
再読文字とは
漢文特有の構文で、「未(いまだ~ず)」「将(まさに~せんとす)」など、2回読む字。
返り点と重なると混乱しやすいので、次のようにルール化して覚えるのがおすすめです。
| 再読文字 | 意味 | 例文 | 訳 |
|---|---|---|---|
| 未 | まだ~ない | 未レ見 | まだ見ない |
| 将 | まさに~せんとす | 将レ行 | まさに行かんとす |
| 当 | まさに~べし | 当レ行 | まさに行くべし |
| 宜 | よろしく~すべし | 宜レ学 | 学ぶのがよい |
| 須 | すべからく~すべし | 須レ行 | 行くべきだ |
返り点を使いながら、再読文字を1回目→2回目の順で読む意識を持つと、語順を保ったまま自然な訳に近づきます。
6. 実践練習:語順を崩さずに訳してみよう
実際に、よく出る例文で練習してみましょう。
例文1
君子ハ義ニ喩リ、小人ハ利ニ喩ル。
(読み)君子は義にさとり、小人は利にさとる。
(訳)立派な人は正義の道理に明るく、つまらない人は損得に明るい。
→「君子」「義」「喩リ」と順に読んでいけば、語順を崩さず自然な日本語にできます。
例文2
学而時ニ之ヲ習フ。
(読み)学びて時にこれを習ふ。
(訳)学んで、時おり復習する。
→「而」「レ」「之ヲ」といった返り点の働きを正確に追うことで、漢文の流れをそのまま感じ取れます。
7. 大学受験での返り点の出題傾向
大学受験では、返り点そのものの暗記問題よりも、**「返り点を踏まえて正しい語順・意味を選ぶ」**タイプが多く出題されます。
たとえば共通テストや難関私大では次のようなパターンがあります。
-
読みの順序を選ばせる(「レ」「一二」などの理解が必要)
-
返り点をもとに文構造を問う(主語・述語の対応)
-
再読文字+返り点の併用を問う(文意把握)
したがって、**「返り点を見て即座に文構造を思い描ける」**ことが重要です。
ノートに「返り点ごとに矢印を書いて流れを整理する」練習を繰り返すと、読解スピードも上がります。
8. まとめ:返り点攻略は「仕組み理解」+「語順意識」で決まる
返り点をマスターするには、「暗記」ではなく「構造理解」が何より大切です。
次の3ステップを意識して勉強しましょう。
-
レ点・一二点の基本を矢印で理解する
-
主語・述語・修飾語の関係を崩さず読む
-
再読文字や送り仮名とセットで考える
こうした意識を持つことで、漢文を「日本語のように自然に」読むことができ、読解問題だけでなく記述問題にも強くなります。
返り点を単なる記号としてではなく、**「日本語との橋渡しをしてくれる道具」**として使いこなすこと。
それが、大学受験古文・漢文で高得点を取るための最短ルートです。
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