2022/08/25
「共通テストの英語リスニングが、リーディング以上に難しく感じる」 「1回流し(1回読み)の問題に入った途端、一度聞き逃すとパニックになってしまう」 「イギリス英語や非母語話者の発音に対応できず、頭が真っ白になる」
大学受験を控えた多くの高校生、そしてその保護者様が直面する大きな壁、それが「共通テスト英語リスニング」です。かつてのセンター試験時代、リスニングは「50点満点(筆記の4分の1の配点)」であり、比較的平易な問題が多く、対策を後回しにしてもなんとかなる科目でした。
しかし、共通テストへと移行して以降、状況は一変しました。リーディングとリスニングの配点比率は「100点:100点(大学により傾斜配点あり)」の同等扱いとなり、難易度も劇的に跳ね上がっています。もはやリスニングは「おまけの科目」ではなく、合否を直接左右する「主要科目」へと昇格したのです。
共通テスト英語リスニングで高得点を叩き出すためには、ただ漫然と英語の音声を聴き流すような対策では全く歯が立ちません。求められているのは、「最新の出題傾向を正確に把握し、設問ごとに聴き方を変える戦略的なアプローチ」です。
今回は、共通テスト英語リスニングの全体像、最新の出題傾向の徹底分析、そして本番で8割・9割を確実に仕留めるための読解・聴解戦略を余すところなく解説します。
1. 共通テスト英語リスニングの「4つの基本特徴」と衝撃の事実
まずは、共通テストリスニングがどのような試験であるか、その基本構造と、受験生が衝撃を受ける特徴について整理します。
① 配点はリーディングと同じ「100点満点」
前述の通り、試験全体のボリュームとしてリーディングと同等です。大学によっては一般入試や共通テスト利用入試で配点を「リーディング4:リスニング1」などのように傾斜をかける場合もありますが、国公立大学の一次試験をはじめ、多くの主要大学が「1:1」の比率を採用しています。リーディングと同じだけの熱量で対策を行う必要があります。
② 第3問以降は「1回流し(1回読み)」の恐怖
センター試験との最大の変更点であり、受験生を最も苦しめているのがこれです。第1問と第2問は音声が2回流れますが、第3問から第6問まではすべて「1回しか音声が流れません」。 現代語の日常会話でも、一度聞き逃した内容を思い出すのは難しいものです。それを初見の英語で行うわけですから、集中力の持続と「聞き逃したときに即座に切り替えるメンタル」が要求されます。
③ 「多様な英語」への対応(イギリス英語・非母語話者)
共通テストのリスニングには、アメリカ英語だけでなく、イギリス英語を話すスピーカーや、アジア圏など「英語を第一言語としない非母語話者(ネイティブではないスピーカー)」の音声も意図的に導入されています。アメリカ英語のクリアな発音(いわゆる学校の授業でよく聴く音声)だけに慣れていると、独特のイントネーションや母音の響きに戸惑い、一気に失点する原因になります。
④ 「複数テキスト」と「思考力」の重視
単に「聴こえた単語を選択肢から選ぶ」という単純な問題はほぼ排除されています。グラフや表、イラスト、複数の人物による議論のメモなど、「視覚情報」と「音声情報」を脳内で同時に処理し、論理的に思考して答えを導き出す問題が主流です。
2. 大問別の徹底分析とクリアすべき課題
共通テストリスニングは第1問から第6問まで、難易度がグラデーションのように上がっていきます。それぞれの大問の特徴と、解く際の着眼点を分析します。
【第1問】(A・B)短文の発話内容・イラスト選択(2回流し)
比較的短い発話を聞き、適切なイラストや数字を選ぶ問題です。
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傾向: 基礎的な語彙や表現、時差や金額の計算が出題されます。音声は2回流れるため、全問正解が必須のエリアです。
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対策のツボ: 1回目の音声で答えの候補を絞り、2回目で確証を得る動きを徹底します。数字の引っ掛け(「15」と「50」の聞き分けなど)に注意が必要です。
【第2問】対話文とイラスト・表の合致(2回流し)
日常的な場面(買い物、道案内、予定の調整など)における2人の対話を聞き、状況に合うイラストやグラフを選ぶ問題です。
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傾向: 対話の「最後の発言」だけでなく、途中の条件変更(「やっぱり時間を変えよう」「こっちの安い方にしよう」など)を聞き取らせる罠が仕込まれています。
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対策のツボ: 登場人物が「最終的にどの選択肢を選んだのか」という結論を最後まで見届ける忍耐力が求められます。
【第3問】短い対話文と質問に対する解答(ここから1回流し)
ここから試験の雰囲気がガラリと変わります。2人の対話を聞き、問題冊子に印刷された質問に対する最適な答えを選びます。
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傾向: 音声が1回しか流れないため、事前の「設問リード」が明暗を分けます。
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対策のツボ: 音声が流れる前に、必ず「何が問われているのか(質問文と選択肢)」に目を通します。何を待ち伏せして聴けばいいのかが分かっていれば、1回流しでも恐れる必要はありません。
【第4問】(A・B)長めの説明文・複数条件の整理(1回流し)
4Bでは、複数の人物(3〜4人)の条件や好みを整理し、最適なプランを選ぶような「パズル要素」の強い問題が出題されます。
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傾向: 聴きながらメモを取ることが前提の作りになっています。音声のスピード自体はそこまで速くありませんが、情報量が非常に多いのが特徴です。
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対策のツボ: 問題冊子の余白や、与えられた表をフル活用して「Aさんは〇、Bさんは×」といった記号メモをリアルタイムで残す練習が不可欠です。
【第5問】(A・B)講義・プレゼンテーションの聞き取り(1回流し)
大学の講義のような、アカデミックな内容(環境問題、歴史、科学など)に関する1人のスピーカーによる長文の音声です。
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傾向: 講義のメモ(穴埋め形式)を完成させたり、グラフの推移を予測したりする問題です。専門的な語彙が一部含まれることもあります。
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対策のツボ: 現代文の評論文を聴いているような感覚が必要です。最初に「主題(テーマ)」が提示され、次に「具体例やデータ」、最後に「結論」という論理の展開パターン(ディスコースマーカー)を意識して聴きます。
【第6問】(A・B)複数人による議論・主張の整理(1回流し)
4人の人物が、ある特定のテーマ(例:電子書籍の是非、リサイクルの義務化など)について議論を交わします。
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傾向: 「誰がどの立場(賛成・反対・中立)なのか」「Aさんの意見に対してBさんはどう反論したか」という、人間関係と論理の対比を正確に掴む必要があります。最難関のエリアです。
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対策のツボ: 話者が切り替わるタイミング(声の変化や名前の呼びかけ)に神経を集中させます。「賛成の意見(ポジティブな単語)」と「反対の意見(ネガティブな単語)」のキーワードを瞬時に仕分けする脳の体力が試されます。
3. 共通テストリスニングで高得点を取るための「3つの戦略的読み方・聴き方」
リスニング力を高めることと、共通テストで点数を取ることは、似ているようで少し異なります。試験場で絶大な効果を発揮する「戦術」を伝授します。
① 「先読み(下読み)」の時間を1秒でも多く生み出す
リスニング試験の成否は、音声が流れていない「無音の時間」をどう使うかで決まります。 試験開始の合図があったら、あるいは各大問のアナウンス(「これから第3問を始めます…」といった日本語の指示)が流れている時間をすべて使い、次以降の問題の設問文と選択肢に目を通します。
先読みをしておくことで、脳の中に「こういう話が流れてくるだろう」という予測の網(フレームワーク)ができ、初見の音声をキャッチしやすくなります。前の問題を引きずらず、いかに早く次の先読みにシフトできるかが勝負です。
② 単語のつまづきで「立ち止まらない」割り切りを持つ
1回流しの問題において、途中で意味の分からない単語が1つ出てきたからといって、そこで「ええと、今の単語の意味は何だっけ?」と3秒考えてしまったら、その瞬間にその問題の解答権を失います。あなたが立ち止まっている間も、音声は無慈悲に進んでいくからです。
分からない単語は「未知の何か(X)」として割り切り、文全体の流れや、直後の言葉からニュアンスを推測する。この「スルーする勇気」が、結果として大崩れを防ぎ、高得点を安定させます。
③ 音声の「スクリプト(台本)」を頭の中で映像化する
耳から入ってきた英語の音を、いちいち「日本語の文章」に翻訳していては、共通テストのスピードには追いつけません。「Apple」と聴いたときに「りんご」という日本語を介さず、赤い果物のイメージが浮かぶのと同じ感覚を、長文でも作っていきます。 状況や景色、登場人物の表情を頭の中でアニメーションのように映像化しながら聴く癖をつけてください。
4. 保護者の方へ:リスニングの対策は「環境の提供」から始まる
保護者の皆様、英語のリーディング(長文読解)や文法は、机に向かってガリガリとノートに書き込むスタイルが一般的ですが、リスニングの対策は少しアプローチが異なります。リスニング力を伸ばすために最も必要なのは、「毎日、短時間でも英語の音に触れる環境」です。
人間の耳や脳は、使わなければすぐにその言語の周波数やリズムを忘れてしまいます。週に1回、塾でまとめて1時間リスニングの練習をするよりも、毎日10分、スマートフォンのアプリや教科書の音声ファイルを聴く方が、遥かに高い効果が得られます。
ご家庭でのサポートとしては、お子様が机に向かっていない時間(通学の車中、お風呂上がり、食事の前などの隙間時間)に、自然と英語の音声が流せるようなイヤホンや音声環境を整えてあげることです。「勉強しなさい」と言う代わりに、「お気に入りの英語の音声、今日も少し聴いた?」と、習慣化を優しく促す声掛けが、受験期後半に大きな得点力となって返ってきます。
まとめ:正しい出題傾向の把握が、リスニングの恐怖を自信に変える
共通テスト英語リスニングの出題傾向と分析を振り返りましょう。
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配点はリーディングと同等であり、第3問以降の「1回流し」への対策が必須。
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アメリカ英語だけでなく、イギリス英語や非母語話者の音声にも慣れておく。
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リード文やイラスト、設問の「先読み」を徹底し、待ち伏せの状態で聴く。
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途中で聞き逃しても立ち止まらず、全体の論理展開を映像化しながら追う。
共通テストリスニングは、決していわゆる「帰国子女」や「特別な才能を持つ人」だけが高得点を取れる試験ではありません。出題のルールを理解し、毎日の地道な音声へのアプローチと先読みのテクニックを組み合わせれば、誰でも8割、9割、そして満点を狙える「極めて論理的な試験」です。
リスニングへの苦手意識を捨て、戦略的な武器として磨き上げ、志望校合格への切符を確実なものにしましょう。
次の一歩として、まずは直近の過去問や予想問題集を開き、音声を流さずに「設問文のキーワード」だけを30秒でチェックする「先読みのシミュレーション」から始めてみませんか?
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