2022/08/25
共通テスト英語リーディングの中でも、多くの受験生が時間配分に苦戦するのが「大問5」。長文の分量が多く、メールやメッセージのやり取りを複数読まなければならない構成になっています。
「登場人物が多くて混乱する」「誰が何を言っているのか分からなくなる」という悩みを持つ受験生は多いでしょう。
しかし、大問5は「読解力」よりも「情報整理力」と「要点抽出力」が問われる問題です。つまり、正しい手順で練習すれば、得点を安定させることが可能なのです。
この記事では、共通テスト英語リーディング大問5の特徴と、時間を無駄にせず正確に読み取るための勉強法・実践ステップを詳しく紹介します。
1. 大問5の出題傾向と構成を理解する
共通テストの大問5は、メール・掲示板・SNSなどの「複数人のやり取り」がテーマになっていることが多いです。
文量はおよそ1000語前後で、2〜4人の登場人物のやり取りが中心。メールの送信・返信・再返信という形で展開し、内容の変化や意図のすれ違いを読み取る問題が出題されます。
特に注目すべきは以下の3点です。
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やり取りの目的:何のためにメールを送っているのか(例:イベント準備、旅行計画、学校プロジェクトなど)
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登場人物の立場と意見:賛成・反対・中立など、立場の違いを整理
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変化点:途中で誰かの意見や計画が変わる瞬間を見抜く
この3点を意識して読むことで、設問の正答率が大きく上がります。
2. メール問題の「読解順序」を決めておく
多くの受験生がつまずく原因は、「上から順に丁寧に読んでしまう」ことです。
共通テストでは、すべての文をじっくり読んでいては時間が足りません。
効率よく情報をつかむためには、次の3ステップで読むのがコツです。
ステップ①:設問を先に確認する
最初に、どんな質問がされているのかを見ておきましょう。
「誰がどのような提案をしているか」「最終的にどんな結論になったか」など、設問を先に読むことで、読みながら目的を持つことができます。
→ 目的を持たずに読むと、重要でない文に時間を使ってしまうため注意。
ステップ②:差出人・宛先・件名をチェック
メール問題では、From・To・Subjectの部分が重要です。
「誰が誰に、どんな目的で書いているのか」がここで分かるため、文を読む前に人間関係を頭の中で整理しておくことがポイントです。
例:
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From: Emma
-
To: Jack
-
Subject: Group Project Update
この時点で、「エマがジャックに、グループ活動の進捗を伝えるメール」だと分かります。
ステップ③:本文を「段落ごとの目的」で読む
一文一文を訳そうとせず、段落ごとに何の話をしているかをつかむ読み方をしましょう。
たとえば、
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第1段落:問題提起(何が課題か)
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第2段落:提案(何をしたいのか)
-
第3段落:反応(相手の意見)
-
第4段落:最終決定(結論)
この構造を意識して読むと、誰がどんな立場なのかが整理しやすくなります。
3. 正答率を上げる「情報整理メモ法」
大問5の得点を安定させるには、読みながら「メモを取る習慣」が効果的です。
ただし、全てをノートに書く必要はありません。
人名・意見・行動の3つを簡単にメモしておくだけで、問題を解くときに混乱を防げます。
例:
| 人物 | 意見・行動 | 変化点 |
|---|---|---|
| Emma | Saturday is better | 最後にSundayに変更 |
| Jack | Prefers Sunday | 最後にEmmaに同意 |
このようにメモすることで、問題文を戻って確認する時間を減らせます。
特に「誰が最終的に何を選んだのか」を整理しておくと、選択肢問題に迷うことが少なくなります。
4. 選択肢の処理方法:消去法で確実に絞る
メール問題では、「正しい内容を選ぶ」よりも「間違っている選択肢を消す」方が効率的です。
そのためのポイントを3つ紹介します。
① 「言い換え表現」に注意
正解は本文の表現を少し言い換えて出されることが多いです。
たとえば本文に “She wants to hold the meeting online.” とあれば、
選択肢では “She prefers an online meeting.” となっている可能性があります。
→ 意味が一致していれば正解候補です。
逆に、本文と似ているけれど少し違う表現(例:”She agrees with the plan.”など)は誤答です。
② 時間・場所などの「具体情報」をチェック
数字・日付・場所は間違いやすいポイント。
たとえ文意が合っていても、細部が違えば不正解です。
本文中の具体情報は線を引いて確認する癖をつけましょう。
③ 「主張の変化」に注意
メールのやり取りでは、途中で意見が変わることがあります。
最初のメールの情報だけで判断すると不正解になるケースが多いため、最後のメールでの結論を確認してから選びましょう。
5. 時間配分のコツ:10分で解くための練習法
共通テストのリーディング全体は80分ですが、大問5には10〜12分を割り当てるのが理想です。
時間内で解けるようにするためには、「段階的な練習」が効果的です。
ステップ1:1通のメールを「要点だけ読む」練習
最初は、全文を精読するのではなく、
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誰が
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何を伝えたいのか
-
どんな反応をしているのか
の3点を30秒以内で要約する練習をします。
ステップ2:2人のやり取りを「関係図」に整理
次に、複数メールを読んで、「誰が誰にどう返したのか」を図にまとめます。
実際の試験では図を書く時間はないですが、関係整理の感覚を身につけるのが目的です。
ステップ3:過去問で時間を計って解く
本番と同じ80分間で過去問を解き、大問5を10分以内で完了する練習を繰り返しましょう。
最初は時間オーバーでも、回数を重ねるごとに「読む順番」と「情報整理」のコツがつかめてきます。
6. 家庭学習での効果的な教材活用
大問5対策には、市販の共通テスト問題集だけでなく、英語の実用的なメール文を活用するのがおすすめです。
たとえば:
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英検準2級〜2級のライティング・リーディング問題
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海外の英語学習サイト(ESLメール例文集)
こうした教材では、実際のやり取りに近い自然な英文が読めるため、読解力と語彙力を同時に鍛えることができます。
さらに、音読を取り入れると効果が倍増します。
英語の語順で理解する感覚が身につくと、長文を日本語に訳さずに読めるようになるためです。
7. まとめ:大問5は「構造」で読む
共通テスト英語リーディング大問5は、単なる長文問題ではなく、人間関係の流れを追う問題です。
個々の文の意味よりも、メール全体の構成や意見の変化に注目することがカギです。
ポイントの総まとめ
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設問を先に読んで目的を明確にする
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From・To・Subjectを見て人間関係を整理する
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段落ごとの「話題の移り変わり」を意識する
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メモで意見と変化を管理する
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消去法で確実に選択肢を絞る
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10分で解く練習を積む
これらを繰り返すことで、情報処理力とスピードが大幅に上がり、大問5が得点源に変わります。
英語リーディングの得点を安定させたい受験生は、まずこの「メール読解の型」を身につけることから始めましょう。

