2022/08/25
小論文の添削をしていると、よく見かける共通の課題があります。
それは――「同じ言葉を何度も繰り返してしまう」ということ。
たとえば、
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「大切だ」「重要だ」「大事だ」ばかり連発している
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「私は思う」「私は考える」で文が終わってしまう
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「問題」「課題」「必要」ばかりが並ぶ
文章の内容がしっかりしていても、語彙が単調だと印象が弱くなり、説得力も下がるのです。
大学入試の小論文では、内容だけでなく「言語表現の幅」も評価対象。
今回は、そんな“言葉のワンパターン化”から抜け出すための、表現バリエーションの広げ方を解説します。
1.なぜ「同じ言葉ばかり」になるのか
まずは原因を理解しましょう。多くの受験生が同じ語を繰り返してしまう理由は、主に3つあります。
(1)語彙のストックが少ない
普段の読書量や文章練習の不足により、使い慣れた言葉以外が出てこない状態です。
特に「重要」「必要」「良い」「悪い」などの抽象語ばかりに頼りがち。
(2)文章の構造を意識していない
「同じ意味を別の角度から言い換える」力は、論理構成を理解しているかに関係します。
論点整理が不十分だと、同じ主張を何度も繰り返す結果になります。
(3)書き直し・推敲の時間が足りない
下書き段階では同じ語を使っても構いません。
しかし、本番で“推敲力”が鍛えられていないと、そのまま出してしまいがちです。
つまり、**「語彙力+論理力+推敲力」**の3点を意識することが、表現の幅を広げる第一歩になります。
2.繰り返しを避ける!便利な言い換えテクニック
それでは実際に、よくある小論文表現をどのように言い換えられるかを見ていきましょう。
① 「重要だ」「大切だ」の言い換え
| 基本表現 | 言い換え例 | ニュアンス・使い方 |
|---|---|---|
| 重要だ | 欠かせない/不可欠である/本質的である | 客観的・論理的に強調したいとき |
| 大切だ | 意義がある/価値が高い/注目すべきである | 評価・感情を込めたいとき |
| 必要だ | 求められている/重視される/期待される | 社会的な視点で書くときに有効 |
→ 同じ「大切さ」を述べる場合でも、論理・感情・社会的視点によって使い分けると自然な文章になります。
② 「問題」「課題」の言い換え
| 基本表現 | 言い換え例 | ニュアンス |
|---|---|---|
| 問題 | 懸念点/障害/矛盾/難点 | 否定的な側面を強調するとき |
| 課題 | 改善点/今後の取り組み/検討事項 | 前向きな解決姿勢を示したいとき |
→ 「問題がある」ばかりでは単調です。
「〇〇において課題が残されている」「〇〇が障害となっている」と言い換えると、より専門的な印象になります。
③ 「私は思う」「〜と考える」の言い換え
| 基本表現 | 言い換え例 | 使い方のポイント |
|---|---|---|
| 思う | 考察する/推察する/見なす | 客観性を高めたいとき |
| 考える | 主張する/提案する/指摘する | 主張をはっきり示すとき |
| 感じる | 実感する/痛感する/印象を受ける | 体験や心情を述べるとき |
→ 小論文では「思う」よりも「考察する」「提案する」など、知的で論理的な語彙を使うと評価が高くなります。
④ 「良い」「悪い」の言い換え
| 基本表現 | 言い換え例 | ポイント |
|---|---|---|
| 良い | 望ましい/効果的/有意義である | 評価を具体的に表現 |
| 悪い | 問題がある/適切でない/弊害がある | 批判を丁寧に伝える |
→ 「良い・悪い」で終わらせず、なぜそう言えるのかまで具体化しましょう。
⑤ 「~することができる」の言い換え
| 基本表現 | 言い換え例 | 備考 |
|---|---|---|
| ~できる | ~することが可能である/~を実現できる/~が期待される | 硬めの文体に適する |
| ~ができるようになる | ~する力を身につける/~の環境が整う | 教育・社会系のテーマに有効 |
→ 同じ「可能性」を示す表現でも、状況や主語によって最適な語が変わります。
3.同じ語を繰り返すときの「間」を工夫する
完全に繰り返しを避けるのではなく、文と文の間に距離を置くことで自然に読ませる方法もあります。
例:
地域のつながりを再生することは重要だ。
そのためには、人と人が信頼関係を築く機会を増やすことが不可欠である。
同じ「重要」や「不可欠」系の語を使っていますが、間に具体例や説明を挟むことで重さを分散できます。
また、同義語ではなく「比喩的表現」や「構文変化」で変化をつけるのも効果的です。
例:
教育は社会の未来を形づくる礎である。
したがって、その質の向上は欠かせない課題だ。
このように文構造を工夫すれば、繰り返し感が減り、読みやすさと説得力が両立します。
4.文全体でのバリエーションを意識する
語彙だけでなく、文のリズムや構造にも変化をつけることで表現力がぐっと豊かになります。
(1)文の長短を交互に
環境問題の解決は容易ではない。
しかし、私たち一人ひとりの行動が社会を変える第一歩となる。
短文→長文→短文のリズムをつけると、読み手が飽きません。
(2)主語の位置を変える
私たちは環境を守る努力を続けるべきだ。
→ 環境を守る努力は、私たちが続けていくべき課題である。
文末や主語の位置を入れ替えるだけでも、印象が変わります。
5.実践練習:単調な文をブラッシュアップ
Before
地域活性化は重要だ。地域の人々が協力することが大切だ。地域の課題を解決することが必要だ。
After
地域活性化は、地域の将来を左右する重要なテーマである。
その実現には、住民同士の協力が欠かせない。
さらに、地域に残された課題を一つずつ丁寧に解決していく姿勢が求められる。
語彙の幅・文構造の変化・接続の工夫。
この3つを意識するだけで、文章の格が一気に上がります。
6.バリエーションを身につけるトレーニング
① 模範答案の模写と分析
大学の過去問や模範小論文を1つ選び、語彙・文の型・接続表現を分析します。
「同じ内容をどのように多様に表現しているか」を見抜く練習が有効です。
② 自分の原稿を「別の語で書き直す」
同じ主張を、違う語彙で2パターン書いてみましょう。
(例)「大切だ」→「意義がある」「価値が高い」「欠かせない」
③ 日常的に“言い換え意識”を持つ
ニュースや新聞記事を読むときに、「この表現を別の言葉で言うと?」と考える癖をつけましょう。
7.保護者の方へ:語彙の幅が「思考の幅」になる
小論文で表現が単調になる背景には、「語彙量の少なさ=思考の幅の狭さ」があります。
多様な言葉を学ぶことは、多様な視点を持つ訓練にもつながります。
読書やニュース視聴、家庭での会話を通じて、「この言葉、別の言い方もできるね」と促すだけでも、
お子さんの表現力は確実に伸びていきます。
まとめ:言葉の幅は“説得力”を生む武器になる
「同じ言葉ばかり」の小論文は、内容がどれだけ良くても読み手に単調な印象を与えます。
一方で、語彙や構文を工夫できる受験生は、読ませる力・伝わる力を持っています。
最後に、今日のポイントを整理しましょう。
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「重要」「問題」「思う」などの語は言い換えを意識する
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文と文の間に“間”をつくることで自然な変化を
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語彙だけでなく、文構造・リズムにもバリエーションを
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模範文を分析・模写して表現の型を身につける
語彙力は一朝一夕で身につくものではありませんが、
毎回の小論文練習で“1語でも違う言葉を使う意識”を持てば、必ず変わります。
あなたの小論文を「言葉の力」で格上げしていきましょう。
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