2022/08/25
小論文は、大学入試や推薦・AO入試、公務員試験、さらには社会に出てからのレポート作成など、幅広い場面で必要とされるスキルです。しかし、高校生の中には「小論文って国語が得意なら何とかなるでしょ?」とか「直前に練習すれば大丈夫じゃない?」と軽く考えている人も少なくありません。
実際のところ、小論文は一朝一夕で身につくものではなく、読解力・論理的思考・表現力といった複数の力が複合的に求められます。したがって、適切な時期に、適切な方法で学習をスタートさせることが非常に重要です。
この記事では、学年別に「いつ・どんな学習を始めればよいか」を具体的に解説していきます。
◆高校1年生:基礎力の育成期
高校1年生の段階では、小論文の「書き方そのもの」よりも、土台となる基礎力を固めることに重点を置きましょう。
◎主に取り組むべきこと
-
語彙力の増強:日々のニュースや新聞、評論文などに触れる習慣を持ち、語彙を増やす。
-
文章読解力の養成:現代文の読解問題にしっかり取り組み、筆者の主張や論理構成を読み取る力を養う。
-
要約練習:読んだ文章の要点を50〜100字でまとめる練習を定期的に行う。
この時期は、いわば「書ける土台」を作る期間です。急いで小論文の型を学ぶ必要はありませんが、インプット中心の活動は積極的に取り入れたいところです。
◆高校2年生:本格的な小論文学習のスタート期
高校2年生は、小論文対策を本格的に始めるのに最も適したタイミングです。進路が少しずつ具体化し、入試方式を意識し始めるこの時期に、「自分の意見を論理的に書く力」を育てていきましょう。
◎この時期の目標
-
小論文の基本構成を身につける
┗ 序論・本論・結論の三部構成で書く練習を始める。 -
課題文型小論文への対応力を養う
┗ 課題文の主張を読み取った上で、自分の意見を展開する形式に慣れる。 -
反論・対立意見の扱い方を学ぶ
┗ 一面的な主張ではなく、複数の立場を整理しながら、自分の立場を明確にして書く練習を行う。
この段階では、月に2〜4本の小論文を書くことを目標にすると良いでしょう。最初は400〜600字程度の短めの課題から始め、徐々に800〜1200字の課題に取り組むのが理想です。
◆高校3年生:実戦演習と弱点補強の時期
高校3年生の4月からは、いよいよ実戦的な演習と弱点の克服に力を入れていくべきです。特に推薦・AO入試を志望する場合は、早ければ夏前に出願準備を始めなければなりません。
◎実戦演習のポイント
-
大学別・出題形式別の対策
┗ 志望大学の過去問や出題傾向を調べ、的を絞った演習に取り組む。 -
時間制限のある中での演習
┗ 60分など、制限時間内で構成を考え、文章を仕上げるトレーニングを積む。 -
添削・フィードバックの活用
┗ 書きっぱなしにせず、添削を受けて「どう直すべきか」を意識する。
また、出願書類の志望理由書や活動報告書と小論文の内容が矛盾しないよう、事前にテーマの整合性を確認しておくことも重要です。
◆受験直前期(秋〜冬):最終調整と出題傾向の再確認
受験が近づく秋から冬にかけては、これまで書いた小論文を見直し、自分の「弱点パターン」を洗い出しておきましょう。例えば以下のような視点で振り返ります。
-
序論と結論に矛盾がないか?
-
論拠があいまいになっていないか?
-
主張と事実の区別がついているか?
必要があれば、論点整理・構成の見直しだけでも効果があります。全体のクオリティよりも、「確実に合格点が取れる安定した論文」を書けることを重視しましょう。
◆保護者の方へのアドバイス:小論文対策は長期戦です
小論文対策は、数学のように「公式を覚えて解けるようになる」といった短期的な勉強とは異なり、積み上げが非常に重要です。
保護者としてできることは、以下のようなサポートです:
-
日々のニュースや話題について子どもと会話する
-
書いた小論文を読んであげて、感想を伝える
-
勉強計画を確認し、進捗を一緒に見守る
「何をどう書けばいいのか分からない」と悩む時期もありますが、根気強く継続することで、確実に力はついていきます。
◆まとめ:学年に応じた段階的な対策で差がつく
小論文の学習は「遅すぎることはあっても、早すぎることはない」と言われるほど、早期対策がカギです。
-
高1は土台づくり
-
高2は構成・表現の訓練
-
高3は実戦演習
このように、学年ごとに目標を明確にし、段階的にスキルアップしていくことで、本番で「しっかりと主張を持った、論理的な小論文」が書けるようになります。
今、自分がどのステージにいるかを見つめ直し、必要な学習を今すぐ始めてみてください。小論文は「思考力の鏡」です。将来に通用する力を、入試対策の中で磨いていきましょう。
