2022/08/25

高校の国語の授業では、評論文や小説を読解し、設問に答え、語句の意味や文の構造を学ぶことが中心です。しかし、大学入試で出題される「小論文」は、まったく異なる性質を持つ試験です。
小論文で問われるのは、知識の暗記でも、正解を選ぶ能力でもありません。自ら課題を読み解き、論理的に考え、自分の意見を根拠とともに文章で伝える力です。
この力は、学校の定期テストや共通テストの国語で高得点を取っている生徒でも、いざ小論文となると戸惑う理由でもあります。
本記事では、「高校の国語では習わないけれど、入試小論文で必要不可欠な思考とは何か?」をテーマに、小論文で合格点を取るために必要な考え方と、そのトレーニング方法を解説していきます。
1.小論文における「思考力」とは何か?
■ 知識より「考えの筋道」
小論文で求められているのは、知識の量よりも**考えの「筋道」**です。具体的には、
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問題提起に対して適切に論点を設定できるか
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自分の立場を明確にし、それを支える理由を複数提示できるか
-
一貫性を持って主張を展開できるか
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反論や反対意見に対してどう対応するか
といった論理的思考と構成力が評価されます。
これらは、高校の現代文の選択問題ではあまり使わない能力です。読解と解答の間に、自分の意見が必要になる点が、最大の違いです。
■ クリティカル・シンキング(批判的思考)の重要性
もうひとつ、小論文特有の力として重要なのが「クリティカル・シンキング(批判的思考)」です。
これは、「ある主張に対してそのまま鵜呑みにせず、前提や論拠を疑い、別の視点を考慮する力」です。
たとえば、以下のような文章が課題文として出されたとします:
AI技術が急速に発展する中で、人間の仕事は機械に代替される運命にある。
このような一文を見たときに、「なるほど、じゃあAIに仕事を奪われるのはしかたがない」と考えるだけでは足りません。
小論文ではここから、
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「すべての仕事が代替されるのか?」
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「人間にしかできない仕事とは?」
-
「AIに代替された結果、社会はどう変化するのか?」
など、多角的に疑問を立て、深掘りして考える力が求められます。
この思考こそが、入試小論文で高く評価される能力です。
2.高校の国語と入試小論文の違いを具体的に比べる
項目 | 高校国語 | 入試小論文 |
---|---|---|
主な内容 | 他者の文章を読解する | 自分の考えを構成して書く |
正解の有無 | 明確な正解がある | 正解は一つではない |
文章の扱い方 | 答えを本文中に探す | 文章から考えを発展させる |
評価基準 | 読解力・語彙力 | 論理性・構成力・独自の視点 |
答える形式 | マーク・短答・記述 | まとまった文章(600~1200字) |
このように、小論文は「答えを見つける」のではなく、「自分の頭で考えて、伝える」形式の試験です。
ゆえに、思考のトレーニングと構成の練習が欠かせません。
3.入試小論文で評価される思考のステップ
それでは、実際に入試小論文で高く評価される「思考のステップ」を段階的に整理してみましょう。
Step1:課題文を正確に読み、論点を抽出する
文章全体を読んだ後、「この筆者は何を言いたいのか」「なぜこの問題が提示されたのか」を整理します。
設問が「あなたはどう考えるか」となっていても、その前提となる文章や社会背景を読み違えると、的外れな主張になります。
→ 論点の読み取りと要約力は、思考の出発点です。
Step2:立場を明確にし、理由を構築する
自分の意見を述べる際は、「賛成・反対」だけでなく、理由が複数あるかどうか、筋道が通っているかが問われます。
このとき、「経験則」「社会的な事実」「因果関係」などの根拠があると、文章に説得力が増します。
→ 「なぜそう思うのか」を2〜3段階で掘り下げましょう。
Step3:反対意見や問題点に言及し、バランスを取る
優れた小論文は、反対意見を無視しません。
「こういう意見もあるが、それに対して私はこう考える」といった形で、自分の主張を相対化する姿勢があると、論文全体の視野が広がります。
→ 反論処理ができる人は、論理的に思考している証拠です。
Step4:結論で主張を再確認し、全体をまとめる
最後に、「自分の主張は何だったのか」「その主張はどんな意味を持つのか」を簡潔に再提示して締めくくります。
ここまでの流れが一貫していれば、読者(採点者)に明快な印象を残すことができます。
4.思考力を鍛える3つのトレーニング
小論文の「考える力」は、才能ではなく訓練で伸ばせます。以下に、日々できるトレーニング方法を紹介します。
(1)「なぜ?」を3回繰り返す習慣
ニュースや時事問題、身近な出来事を見たときに、「なぜ?」を繰り返す練習をしてみましょう。
例)
「日本では少子化が進んでいる」
→ なぜ?:経済的不安/育児支援の不足/価値観の多様化
→ さらに:なぜ育児支援が足りない?
→ 政策の遅れ、都市部の住宅問題、など
こうして思考の枝を広げていく習慣が、論理展開の基礎になります。
(2)記事やコラムを要約&意見添え
新聞のコラム(天声人語など)を読んで、
-
100字で要約
-
自分の意見を200字で記述
このトレーニングを毎日続けるだけで、「読み取る→考える→まとめる」力が鍛えられます。
(3)構成メモを作ってから書く
いきなり原稿用紙に書き出すのではなく、まず以下のような構成メモを作りましょう:
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導入(課題文の要点)
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主張(自分の立場)
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理由①②③(根拠)
-
反論とその克服
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結論(主張の再確認)
これを“型”として習慣化すると、入試本番でも安定した文章が書けるようになります。
5.まとめ|小論文で差がつくのは、「考え方」の質
小論文は、知識の勝負ではありません。「いかに考えを深められるか」「いかに論理的に伝えられるか」が問われる試験です。
そしてその力は、高校の授業や定期テストでは鍛えにくいものです。だからこそ、対策次第で周囲に差をつけることができるのです。
-
反対意見を想定し、バランスをとって考える
-
主張に対して明確な根拠を持つ
-
一貫した構成で文章を展開する
これらを意識するだけで、書く文章のレベルは一段上がります。
入試の小論文では、「どれだけ考えたか」が見抜かれます。
学校では教えてくれない“思考の型”を身につけ、説得力ある文章を書けるよう、今日から一歩ずつトレーニングを始めてみてください。
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