2022/08/25
入試には、『伊勢物語』、『源氏物語』、『平中物語』がよく出る。これら三物語の主人公、すなわち「をとこ(在原業平)」、「光源氏」、「平貞文」 の三人に共通するのは、三人ともたいへんな好き者であるという点だ。異性と仲良くなるために、相手の女に誘いの歌を贈り、相手からオーケーの歌が戻ってきて恋が成立する。うまい歌をつくり、相手をものにすることのできる人が、「風流人」と呼ばれたのである。とにかく、これらの三物語の主人公は「日本三大好き者」と覚えておくといい。
例題 立教大学(文)
〔問〕傍 線の「歌さへ」といった表現には、他によりひなびたものがあることを暗示している。それは何か。左からーつ選べ。
①京の人
② 土地がら
③ 男の歌
④ 女の容姿
⑤ 桑子(蚕のこと)
〔本文〕
なかなかに恋に死なずは桑子にぞなるべかりける玉の緒ばかり
歌さへぞひなびたりける。さすがにあはれとや思ひけむ、いきて寝にけ
『伊勢物語』=「好き者文学」の発想から、まず3か4が本命であると考えられる。そのうえで本文に当たってどちらがいいかを判断すれば
いい。こうした発想を持つことで、読めないあらすじも見えてくるのだ。