【大学受験現代文】共通テスト現代文問題集の効果的な解き方と復習のコツ

共通テスト現代文は、「読めばなんとかなる」と思われがちな科目です。しかし実際には、ただ問題集を解いても得点は安定しません。
読解力は「解く力」と「復習による理解力の定着」の両方が揃って初めて伸びるのです。

この記事では、現代文問題集を使って効率よく得点を伸ばすための「解き方」と「復習法」を、共通テスト対策に特化して解説します。

---

1．現代文問題集の目的を誤解してはいけない

多くの受験生は、現代文の問題集を「正解を出すための練習」として使っています。
しかし、それだけでは得点力は上がりません。

現代文問題集を使う目的は、次の2点にあります。

1. 出題パターンを体得し、設問の意図を見抜けるようにすること

2. 文章構造（論理展開・心情変化）を正確に把握する訓練を積むこと

つまり、「文章の読み方を身につける教材」として使うことが大切なのです。
問題集は、解くことよりも“どう読んだかを確認するツール”だと考えましょう。

---

2．問題集を解く前にやるべき「準備」

現代文の問題を解く前に、まず「読む目的」をはっきりさせることが重要です。
共通テストでは、評論文・小説・随筆など、ジャンルごとに問われ方が異なります。

▷評論文の場合

目的：筆者の主張とその根拠を読み取ること
ポイント：

• 「しかし」「つまり」「なぜなら」などの接続語に注目する

• 対比構造を意識して、「AではなくB」という主張の形を見抜く

▷小説・随筆の場合

目的：登場人物の心情変化とその原因をつかむこと
ポイント：

• 何に対して心が動いたのか（原因）

• どんな感情に変わったのか（結果）

• その変化がどんな言動に現れたか（描写）

このように、ジャンルごとに“読む視点”を明確にしてから問題に取り組むことで、読みがブレなくなります。

---

3．効果的な「解き方」ステップ

ここでは、現代文問題集を使う際の具体的な解き方を5ステップで整理します。

【STEP1】制限時間を意識して解く

共通テストは評論＋小説を80分で解きます。
1題あたり40分が目安です。最初のうちは時間を気にせず丁寧に読み、慣れてきたら制限時間を設けて練習しましょう。
「時間が足りない」と感じる人は、設問より先に本文の「問いの出され方」を確認してから読むのも効果的です。

【STEP2】本文を構造的に読む

現代文の文章は、筆者の主張を「問題提起→主張→具体例→まとめ」という流れで構成しています。
段落ごとに「何を言っているのか」を短くメモしながら読むと、全体像を把握しやすくなります。
この「構造を意識した読み方」は、設問を解くときに非常に有効です。

【STEP3】設問文を分析する

設問には必ず「出題者の意図」があります。
たとえば、「筆者の主張に最も近いものを選べ」なら、“本文全体の主張”を聞いています。
一方、「傍線部の理由として最も適切なものを選べ」なら、“その文の前後関係”を読み取る問題です。
選択肢を見る前に、「どこを、どんな観点で問われているのか」を自分の言葉で整理してから答えましょう。

【STEP4】選択肢を消去法で絞る

現代文の選択肢問題は、正解以外が「一部は合っているが全体としてズレている」形で作られています。
消去法の基本は次の通りです。

• 本文に書かれていないことが入っていたら×

• 感情や評価の語が本文と異なっていたら×

• 「すべて」「必ず」など極端な表現がある選択肢は要注意

正答は“本文の根拠に忠実な選択肢”であることを常に意識しましょう。

【STEP5】解き終えたら「根拠確認」をする

答え合わせをする前に、「なぜこの選択肢を選んだのか」「その根拠は本文のどこか」を自分で説明できるか確認します。
これができないと、次に同じタイプの問題が出たときに対応できません。

---

4．「復習」で得点力を定着させる方法

現代文の実力を伸ばす鍵は、解いたあとの「復習」にあります。
ただ丸付けして終わるのではなく、**“思考のズレを修正する作業”**として行うのがポイントです。

▷(1) 根拠の位置を本文上に書き込む

正答の根拠がある文に線を引き、「ここが答えの理由」とメモします。
間違えた問題は、「自分はどこを根拠にしたのか」「なぜ違っていたのか」を比較しましょう。
この作業で“本文とのずれ”を可視化できます。

▷(2) 段落ごとの要点を再構成する

本文を読み直し、段落ごとに要約を10字〜15字で書き出します。
こうすると、筆者の主張構造が整理され、どこで主張が展開されたかが明確になります。
「この段落の役割は何だったのか」を理解することで、文章の論理展開をつかむ訓練になります。

▷(3) 誤答分析ノートを作る

間違えた設問はノートにまとめ、「どのタイプのミスか」を分類しましょう。
例：

• 根拠を読み違えた

• 登場人物の感情を取り違えた

• 選択肢の表現のニュアンスを見落とした

この「ミスの傾向」を把握することが、得点の安定につながります。

---

5．問題集の選び方と使う順番

共通テスト対策では、問題集の難易度と順序を意識することも重要です。

【基礎期（高2の秋まで）】

• 共通テスト形式の入門問題集を1冊
  →評論・小説の読解パターンを体得

• 1題ずつ丁寧に復習し、構造把握を重点的に行う

【実践期（高3の春〜秋）】

• 過去3〜5年分の共通テスト本試験・予想問題を演習
  →80分で本番と同じペースで解く練習

• 本文構造・設問傾向の分析を中心に

【直前期（冬）】

• 間違いノートをもとに弱点補強
  →特に「選択肢の言い換え表現」や「本文と異なる主観表現」を確認

• 模試の誤答部分を復習して“反射的な選択力”を鍛える

---

6．家庭学習で意識してほしいポイント（保護者向け）

現代文は家庭学習での取り組み方次第で伸び方が変わります。保護者の方ができるサポートとして、次の3点を意識してみてください。

• 問題集を「1冊やりきる」達成感を大切にする
  途中でいくつも手を出すより、1冊を完璧に仕上げる方が学習効果は高いです。

• 「根拠を言葉で説明させる」声かけ
  子どもが答え合わせをしたあと、「どうしてその答えなの？」と聞いてあげるだけで、理解が一段深まります。

• 「成果」ではなく「プロセス」を褒める
  点数よりも、「今日は設問の根拠を見つけられたね」など、考え方の成長を評価してあげることが、長期的な学習意欲を支えます。

---

7．まとめ：現代文は「読み方」と「復習」で伸びる

共通テスト現代文は、才能ではなく「正しい手順」で必ず伸ばせる科目です。
解く前に“読みの目的”を明確にし、解いたあとは“根拠を確認してズレを修正する”──
このサイクルを繰り返すことで、どんな文章でも冷静に読める力が身につきます。

現代文は、受験だけでなく大学入学後のレポートや論文にも直結する「思考力の土台」です。
問題集を“答え合わせの道具”から“考え方を鍛える教材”に変えること。
それが、共通テスト現代文を制する最短の方法です。

---