【小論文】序論・本論・結論を自然につなげる3つの型

time 2025/11/06

folder 大学受験対策小論文の書き方

小論文で最も多くの受験生がつまずくのは、「内容」よりも「構成」です。
「何を書けばいいかは分かるけれど、うまくまとめられない」「序論・本論・結論のつながりが不自然になる」と感じている人は非常に多いのではないでしょうか。

小論文は、ただ意見を述べるだけの作文ではありません。
読んだ人が「なるほど」と納得できるように、論理の流れを設計することが大切です。
その流れを自然に作るためには、「型」を理解しておくことが効果的です。

この記事では、小論文の構成を自然に仕上げるための「3つの型」を紹介します。
どんなテーマにも応用できる、万能の構成パターンとして、受験生にとって大きな武器になるでしょう。

1. 小論文の基本構成は「序論→本論→結論」

まずは小論文の基本的な構造を整理しておきましょう。
どんなテーマであっても、小論文は次の3部構成を意識することが大切です。

序論（問題提起・立場の明示）
　→ テーマに対して「何を」「どの視点で」書くかを示す。
本論（理由・具体例・分析）
　→ 自分の主張を支える根拠や事例を示す。
結論（まとめ・提案）
　→ 論全体を整理し、最終的な意見を明確に述べる。

しかし、ただこの3つを並べただけでは「流れの悪い小論文」になります。
重要なのは、**各部分をどのように“自然につなげるか”**です。

そこで次に紹介する「3つの型」を使うことで、文章の流れをスムーズに整えることができます。

2. 型①「問題→原因→解決型」

（社会・時事テーマに強い構成）

この型は、医療・教育・環境など、社会問題を扱うテーマで特に効果的です。
物事を「なぜそうなるのか」と原因を分析し、「どうすれば改善できるのか」と解決策を提案する流れになります。

〈構成例〉

序論：現状・問題提起
　例：「近年、SNSの普及により若者の人間関係が希薄になっていると言われる。」
本論：原因・分析・具体例
　例：「その原因の一つは、対面でのコミュニケーションの経験不足にある。」
結論：解決策・提案
　例：「学校教育の中で、対話力を育てる授業を増やすべきだ。」

この構成は、「問題→原因→解決」という論理の流れが明確で、読者にとって理解しやすいのが特徴です。
「どうしてそう考えるのか」「ではどうすればいいのか」という問いに自然と答える形になるため、論理的で説得力のある小論文に仕上がります。

〈ポイント〉

序論では「現状」＋「課題」を1～2文で簡潔に提示する。
本論では「原因」→「具体例」→「分析」という順序を意識する。
結論では「だからこそ〇〇すべきだ」と明確に提案で締めくくる。

この型を使うと、構成に迷うことがほとんどなくなります。
特に医療・福祉・社会政策などを扱う大学の小論文では、このパターンが鉄板です。

3. 型②「意見→理由→具体例→再主張型」

（一般テーマ・意見論述に強い構成）

次に紹介するのは、どんなテーマにも応用できる万能型です。
「あなたの考えを述べなさい」というタイプの設問では、まず意見を提示し、その理由を具体的に展開していく流れが自然です。

〈構成例〉

序論：意見・立場の提示
　例：「私は、部活動は学校教育の重要な一部であると考える。」
本論：理由＋具体例
　例：「なぜなら、部活動は生徒に協調性や忍耐力を育てる機会を与えるからである。たとえば、私は中学時代に野球部に所属し、仲間と協力することの大切さを学んだ。」
結論：再主張・まとめ
　例：「以上の理由から、部活動は生徒の人格形成に欠かせない要素である。」

この型の強みは、シンプルでありながら説得力を生む構造にあります。
最初に立場を明確にし、根拠→具体例→再主張と流すことで、読者がスムーズに納得できる文章になります。

〈ポイント〉

「私は～と考える」で意見を明示する。
理由は“抽象的に1文”、具体例は“具体的に1～2文”で。
結論では「だからこそ」「このように」などの接続語を使って自然につなげる。

この型は、**意見表明型の小論文（教育・文化・価値観テーマ）**に特に有効です。
文章構成に迷ったときは、まずこのパターンを使うのがおすすめです。

4. 型③「対立→比較→自説型」

（思考力・論理性を問う難関大向け構成）

難関大学や医学部の小論文では、単なる意見表明ではなく、多面的な視点から考える力が求められます。
その場合に有効なのが、「対立→比較→自説型」です。

〈構成例〉

序論：テーマと対立する2つの立場を提示
　例：「医療現場では、患者の自己決定を重視すべきか、医師の専門的判断を優先すべきかという議論がある。」
本論：双方の利点・欠点を比較しながら分析
　例：「自己決定を重視すれば患者の尊厳を守れるが、判断力が十分でない場合には危険も伴う。一方で、医師の判断を優先すれば安全性は確保されるが、患者の意志が軽視されるおそれがある。」
結論：自分の立場を明確に提示
　例：「私は、医師が十分な説明を行った上で、最終的には患者の意志を尊重すべきだと考える。」

この型は、「AかBか」という二項対立テーマに強い構成です。
読者に「両方を検討した上で導いた結論」という印象を与えることができ、思考の深さをアピールできます。

〈ポイント〉

序論では「〇〇には賛否がある」「両面から考える必要がある」と前置きする。
本論ではそれぞれの立場の“利点・問題点”を対比して整理する。
結論では、「両者を踏まえたうえで、私は～」とバランスを意識して締める。

この構成を使いこなすと、難関大学の小論文でも高評価を得やすくなります。
特に「倫理・命・AI・自由・多様性」などのテーマでは、単純な賛否ではなく比較分析型が求められる傾向にあります。

5. 序論・本論・結論を自然につなぐ「接続の工夫」

どの型を使う場合でも、「段落のつなぎ方」がぎこちないと論理が途切れた印象になります。
そのため、接続表現をうまく使うことが大切です。

〈序論→本論のつなぎ〉

「では、なぜそのような問題が起きているのだろうか。」
「この考えを支える理由を以下で述べたい。」
「この課題を解決するために必要な視点を考える。」

〈本論→結論のつなぎ〉

「以上の点から、私は～と考える。」
「したがって、～が重要である。」
「このように考える理由は次の通りである。」

接続語を工夫するだけで、文章のリズムと流れが一気に自然になります。
論理の“橋渡し”を意識することが、読みやすく説得力のある小論文の鍵です。

6. 実践練習：1つのテーマで型を変えて書いてみよう

構成の型は「知って終わり」ではなく、実際に使ってみて身につけることが大切です。
たとえば、次のようなテーマを3つの型で書き分けてみましょう。

テーマ：「AIの進化は人間の仕事を奪うか」

「問題→原因→解決型」：AIによる職業変化の現状と教育改革を提案する。
「意見→理由→具体例→再主張型」：AIは人間の仕事を奪うよりも新しい職を生むと主張する。
「対立→比較→自説型」：AI推進派と懸念派の両方を比較し、自分の立場を提示する。

同じテーマでも構成を変えるだけで、文章の印象や説得力が大きく変わります。
これは入試本番でも非常に重要なスキルです。

まとめ：型を知れば構成に迷わない

小論文は、書く内容よりも「構成の流れ」で評価が決まります。
どんなテーマでも、序論・本論・結論を自然につなげるためには次の3つの型を使い分けましょう。

問題→原因→解決型（社会問題テーマに最適）
意見→理由→具体例→再主張型（意見表明・万能型）
対立→比較→自説型（思考型・難関大向け）

型を使うことで、文章が整理され、主張が明確になります。
あとは「接続の工夫」と「実践練習」を重ねるだけで、自然で論理的な小論文が書けるようになります。

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