【小論文】小論文とは何か？作文との違いを理解しよう

time 2025/06/13

folder 大学受験対策小論文の書き方

大学入試や高校入試で「小論文が必要」と言われると、多くの受験生はこう思います。

「作文と同じように、自分の意見を書けばいいんでしょ？」
「何を書けばいいかわからない。とにかく字数を埋めるしかない…」

実際、小論文という言葉はよく耳にするものの、「何が求められているのか」がはっきりと理解されないまま、何となく書いてしまっている受験生が非常に多いのです。

そこでこの記事では、「そもそも小論文とは何か？」という基本から、「作文との決定的な違い」、そして受験で評価される小論文を書くために必要な思考のステップまで、具体的に解説します。

■ 小論文とは「主張」と「論理」の文章

小論文とは、与えられたテーマについて「自分の意見を、筋道立てて説明する文章」です。特に大学入試では、「課題文を読んだうえでの自分の立場」や「社会的視点からの考察」が求められることも多く、単なる主観的な意見や感想では不十分です。

具体的にはこんな文章です：

テーマ：「SNSとコミュニケーション」
論点：SNSの普及で人間関係は豊かになったのか
小論文の骨格：
- 問題提起（現状をどう見るか）
- 自分の立場と主張（結論）
- その理由や根拠（社会的背景、実例、データなど）
- 反論への理解や補足
- 結論の再提示・将来への提言

このように、小論文では「論理的に説得する」構造が必要不可欠です。

■ 作文との決定的な違い

多くの受験生が最初につまずくのが、「作文と小論文の違いがわからない」という点です。ここでは両者を比較して整理してみましょう。

項目	作文	小論文
目的	感想や体験の共有	意見・主張を論理的に説明
主観の比重	大きい（自分の気持ち中心）	小さい（客観的視点が中心）
構成	起承転結が多い	序論・本論・結論の三段構成が基本
根拠の有無	必要なし（体験談が中心）	必須（理由や具体例で支える）
対象読者	自分を知る人（先生など）	誰が読んでもわかるように書く

作文では「私はこう思いました」「こんなことがあって嬉しかった」という気持ちがメインですが、小論文では「なぜそう思うのか」「それはどういう意味を持つのか」という理由や論理の組み立てが主軸になります。

■ なぜ小論文が入試で重視されるのか？

小論文は、単に「文章を書く力」を見るための試験ではありません。実際には次のような力を測る手段として使われています。

1. 論理的思考力

現代社会では、情報を整理し、筋道立てて説明する力が重視されています。小論文ではそのトレーニングが可能です。

2. 社会的視野・教養

入試の小論文テーマは、「少子高齢化」「AIと仕事」「環境問題」「メディアの影響」など、現代社会に関する話題が多く出題されます。時事的な関心と背景知識があるかどうかも見られています。

3. 自己表現力

大学での学びや将来の進路を考える上で、「自分はこう考え、それをこう表現できる」という力は大切です。小論文はその力を証明する場でもあります。

つまり、小論文は「将来、社会で活躍する人材になれるか」を見極める指標として、重要視されているのです。

■ 小論文を書くための４つの思考ステップ

小論文を書くときは、いきなり原稿用紙に向かわず、まずは頭の中で以下のステップを踏んで構成を組み立てることが重要です。

【1】テーマを正確に読み取る

たとえば「多様性とは何か、あなたの考えを書きなさい」という設問があったとします。この場合、「多様性とは何か」→「なぜ重要なのか」→「自分の立場は？」という流れで問いを分解する必要があります。

【2】自分の立場を明確にする

小論文では、はっきりと「私はこう考える」と主張することが求められます。「〜と思う」「〜ではないか」というあいまいな表現ばかりでは説得力が出ません。

【3】理由・根拠を挙げる

自分の主張を支える理由として、以下のような材料を使いましょう。

実際のニュースや統計
社会的背景やデータ
自分の体験（論理的に説明できるもの）

【4】結論をまとめ、展望を述べる

文章の最後では「だからこうあるべきだ」「今後はこうしていくことが重要だ」といった形で結論を締めくくります。未来志向で終えることで、読み手に印象を残すことができます。

■ 小論文を書く練習は「型」を覚えることから

「論理的に書け」と言われても、いきなりできるものではありません。まずは基本の「型」を身につけることから始めましょう。

【基本の構成：三段構成】

序論：テーマに対する問題提起、自分の立場
本論：主張の理由や根拠、具体例の提示、反論への対応
結論：まとめと提言・展望

この型に沿って文章を書く練習を繰り返すことで、自然と論理の流れを組み立てる力が身についていきます。

■ よくあるNG例とその改善策

NG例①：「私は〜と思いました」で終わっている

→ 改善策：なぜそう思ったのか、具体例や社会的背景を使って説明を加える。

NG例②：話が飛んでいて、主張がぶれている

→ 改善策：構成メモを作ってから書き始めることで、論点の整理ができる。

NG例③：「みんながそう思うから」という主張

→ 改善策：「私は〜と考える。なぜなら〜だからだ」と、自分の視点を明確に持つ。

■ 保護者の方へ：小論文対策でできるサポートとは？

小論文は、知識や語彙だけでなく、「日頃からの思考習慣」に大きく左右されます。保護者の方ができる支援として、以下のようなことがあります。

ニュース記事や社会的テーマについて会話する機会を増やす
文章を一緒に読んで、「どう思う？」と問いかける
書いた小論文を一読し、素直な感想を伝える

また、小論文の練習は一人で行うと、どうしても「自己流」に偏ってしまいがちです。必要に応じて、指導者や添削者からのフィードバックを受けながら改善を重ねていくのが理想です。

■ まとめ：小論文は“書けるようになる”力です

小論文は、もともと書ける人だけが評価される試験ではありません。正しい型を学び、思考と表現をトレーニングすれば、誰でも確実に上達できる分野です。

まずは「作文とは違う」という認識を持ち、「論理的に考え、筋道立てて書く」ことを意識して練習を始めましょう。最初の一歩が、合格への確かな土台になります。

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